フィギュア



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双葉
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 ああ、どうしよう…部員が集まらない…。
 私の所属する弓道部は伝統はあるものの実績がない。(弓道部の存在すら知られていないのかもしれない)
 その為、毎年部員集めには一苦労しているとは聞いていた。
 だが、まさか一人も入ってこないとは…。

「う〜ん、双葉ちゃんが部活紹介の時、射を失敗しなければ入ったかもしれないけどねぇ」
「じゃあすみれがやればよかったのに…。私、ああいう空気苦手なのよ」
「よく大会大丈夫だったね」
「あの時は部長でもなんでもなかったから、リラックスして出来たの」

 大会でそれなりの成績を残してしまったがために、私はガラでもない部長に任命されてしまった。
 しかも先輩を差し置いた形である。先輩達は気にしていないと言っているが、こちらは気を使う。

「でも本当に困ったねぇ。今年はまだいいけど、来年は2人になっちゃう。活動させてもらえないよ」

 少なくともあと3人集めないと廃部か…。
 めぼしい1年生はみんな他の部に入部してるうえに、今年は帰宅部な女子は少ないらしい。(そしてその帰宅部の子達には断られている)

 他の部から引き抜くにしても、そこまでできる交渉能力も権限もない。

「あら、どうしたの二人とも」

 後ろから声を掛けられた。見ると、3年の若葉先輩だった。

「いえ、ちょっと部員集めに困っていまして…」
「ああ、そういえばそんな時期ね」
「いっそ男子を女装させて入部させたくなりますよ…」

 ホントにやっちゃおうかな…。

「あら、それならいい物があるわよ」
「…いい物?」
「ええ、ちょっと待っててね」

 若葉先輩は部室の奥から大き目の箱を取り出した。

「去年、どこかの福引であてたんだけどね…」

 中を見ると、それは玩具屋に売ってそうなフィギュアだった。
 パーツを付け替えることでいろんな髪型や服装に変えられる奴で、そのパーツもたくさん入っていた。
 これがどう役に立つと言うのだろうか。

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清彦
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 俺の友人である俊明はやや優しげな顔をしているが、男だ。
 見た目の線が細いので、周りからは可愛いという評価が強い。本人は嫌がっているが。

 授業も終わったので、いつものように俊明と一緒に帰ることにする。

「俊明、帰ろうぜ」
「あ、約束があるから清彦先に帰っていてくれねえ?」
「約束?誰とだよ」
「2年の双葉先輩に呼び出されてるんだ」
「げ、マジかよ。あの双葉先輩か!羨ましい」

 双葉先輩は1年の男子の間では人気が高い。
 俺も部活紹介の際に見せた凛々しい表情が綺麗だったことを覚えている。矢が的から全部外れたことも。

「しかし、何でお前なんか誘うんだろうな」
「さあね。だが、こんなチャンスは滅多にないから行ってみるわ」
「わかった。健闘を祈る」

 そう言って俊明を見送る。
 さて、俺はゲーセンでもよって帰りますかね。

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双葉
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「でも若葉先輩、本当にうまくいくんですか?」

 すみれが弱気なことを言った。
 まあ、確かに「そんなうまくいくわけないじゃない」といいたくなる方法だが。

「あら、このフィギュアの能力はあなた達も体験したでしょ?」
「そうですけど…現実味がないことでしたし…」
「大丈夫よ、あたしが保障するわ」

 …どこからそんな自信が出てくるんだろうね、ホントに。
 ああ、そろそろ約束の時間か。二人には部屋の中に隠れてもらう。
 時計を見ると5分前。しばらくすると、部室の扉が開いた。

「あの…俊明ですけど…」
「うん、待ってたわ」
「ええと…俺に何か用ですか?」
「そうね、ちょっと頼みたいことがあるんだけど…」
「はあ、俺に出来ることだったら」
「簡単なことだよ」

 先輩達に合図を送りながら、私は言った。

「女子弓道部に、入ってくれないかな?」

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清彦
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 俺の友人である亜樹はちょっと男勝りだが、女だ。
 みんなから可愛いといわれているが、その事に本人は不満そうだ。昔から男と混じって遊ぶのが好きな奴だったしな。
 付き合いが長いせいか、お互い恋愛対象としてみていない為、良好な友人関係を保っている。
 …なんかおかしい気もするが、気のせいだろう。多分。

 授業も終わったので、いつものように帰ろうとしたら、亜樹に呼び止められた。

「清彦、放課後あいてる?」
「あいてるが、何か用事か?」
「双葉先輩が、清彦に用事があるって」
「双葉先輩が?俺に?」
「うん、清彦の事話したら是非会いたいって」

 ああ、こいつ弓道部だっけ。…いつ女子弓道部に入ったんだ?
 ふと違和感を感じたが、そんなことよりあの双葉先輩が呼んでいるという話の方が重要だ。

「しかし、俺に何のようかね?」
「さあ?もしかしたら告白かもよ」

 亜樹はニヤニヤ笑いながら言った。
 …こういう所が、男からモテないんだろうな、こいつ。

「じゃ、行ってみますか」
「あ、清彦、肩に髪の毛付いてるよ。とってあげる」
「おう、気が利くな」

 思えば、この亜樹の行動が俺の運命を握っていたんだよな…。

「双葉先輩、清彦連れてきましたよ!」

 亜樹の案内で弓道部の部室に連れてこられた。

「うん、ありがとう亜樹ちゃん」
「例のアレはどうします?」
「若葉先輩に渡しておいて」
「わかりました。じゃ、後はお任せしますね♪」

 そう言って亜樹が出て行った。
 二人っきりか…。おいおい、これはひょっとしてチャンスじゃね?
 うまくやれば双葉先輩と…ってそこまでうまい話があるわけねーか。

「で、俺に何の用です?」
「キミに興味があるからお話をしたいんだけど…いい?」
「…まあ構いませんけど」

 とか言っているが、内心嬉しくてたまらない。
 あの双葉先輩と二人っきりで話せる機会なんてそうそうあるまい。
 このチャンスを逃す手はない。

「よかった…あ、とりあえずそこに座っててくれる?今お茶入れるから」

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すみれ
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 ここは弓道部室の隣にある剣道部の部室。
 若葉先輩のお友達が部長さんだということで、今日は特別に借りている。

「誘導成功しました!」
「お疲れ様亜樹ちゃん」

 亜樹ちゃんの頭を撫でてあげる。亜樹ちゃんは嬉しそうな表情をしてくれた。
 う〜ん、この子が昨日まで男の子だったなんて誰も信じないだろうねぇ。ホント、可愛すぎ!

「ほらほら、いちゃつく前にアレを頂戴」
「あ、忘れるところだった。これですよね若葉先輩」

 亜樹ちゃんは糸のようなものを取り出し、若葉先輩に渡した。

「じゃあすみれ。二人で『練習』してきてくれる?」
「えぇ〜、わたしも清彦くんで遊びたい〜!」
「あなたは昨日俊明くんで遊んだじゃない。今日は双葉のリクエストに応える番」
「そりゃそうですけど…」
「次はみんなでやるから、ね?」
「はぁい」

 しょうがないなぁ…。ま、いいか。
 わたしは亜樹ちゃんと練習しながら遊ぼうっと。
 昨日は変える時にちょっと乱暴にしちゃったし、優しくね♪

「すみれ先輩」
「なぁに、亜樹ちゃん?」
「俊明って…誰です?なんか聞き覚えはあるんですけど…」

 昨日までの亜樹ちゃんだよ♪とは言わないでおこう。

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若葉
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 二人が部屋から出た。
 さて、始めようか。

 まずは例のフィギュアを取り出す。
 背中がパカっと開いて何かが入るようになっているので、そこに亜樹ちゃんからもらった「清彦の髪の毛」を入れる。
 こうやって予め手に入れておけば楽なんだよなぁ。
 昨日なんて俊明から髪の毛を奪うのに一苦労。暴れられると力じゃ敵わないもの。
 …髪の毛一本くらいくれればいいのにね。ケチだなぁ。

 清彦の髪の毛を入れると、フィギュアは徐々に形を変え、デフォルメされた清彦の姿になる。
 こういう人形だと男でも可愛く見えるなぁ。まあそれはどうでもいいか。
 じゃあ、魔改造を始めるとしますか。

 まずは…髪の毛からやろうかな。
 双葉の希望は「短め」か…。もっと細かいリクエストくれればいいのに。
 まあいや。私の趣味で決めちゃおう。
 ええと、ショートカットのパーツはこれか。
 これをちょっと整えて…よしできた!
 色は…うん、これがいい。
 よし、これを清彦人形に被せて…。

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双葉
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 男の子と二人っきりで話す事はあまりないから新鮮な気分。
 こういうのもいいなぁ…ってダメダメ!今私は勧誘活動中なんだから!
 …とはいえ、若葉先輩の方が終わらないと勧誘どころじゃないからね。
 男の子を女子弓道部に入れても…いろいろ困るし。
 ま、とりあえず男の子として最後のデート気分を楽しんでもらおう。

 しばらく話をしていると、清彦くんに変化が現れた。
 短く整えられていた髪の毛が少しずつ、肩に届くか届かないかというあたりまで伸びる。
 髪の光沢が増し、柔らかそうな髪に変化していった。

「そういえば清彦くんは綺麗な髪をしてるね」
「そうですか?でも手入れが大変なんですよ」
「へえ、そうなんだ」
「こんなの適当でいいと思うんですけど、母さんが『綺麗な髪なんだから大切にしなさい』ってうるさくて…」

 髪の毛が変わっただけにしては大きな変化だね。
 身体まで変わったらどうなっちゃうのかな…?

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若葉
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 さて次は何にしよう。
 顔にしようかな…でも顔いじるの苦手なんだよねぇ…。
 でもどうせやるんだから、早めに苦手なものを消費しておいた方がいいか…。
 で、双葉の希望は「大人しそうな感じ。子犬っぽく。弱気そうに。守ってあげたくなる子に!」か…。
 そうか、双葉は大人しい子が好きなのか。なんとなく、納得しちゃったよ。
 ならば、この顔のパーツにちょっと手を入れて…もうちょっと線が細い方がいいかな?
 で、目はこうして…眉毛も…よし、これでいいや。
 ちょっと時間が掛かったけど、これなら双葉も満足してくれるかな?
 じゃ、顔のパーツを付け替えて…。

 …そういえば、すみれたちはどうしてるのかな?

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すみれ
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 いや、真面目に練習してますから。

「ほら、結構疲れるでしょう?」
「は、はい…」
「でも気持ちいいでしょう?」
「そうですね、的に当たる爽快感といいますか…」
「でも気をつけてね。人にあてたら洒落にならないから」

 楽しいことは部活の後。それまでは我慢しなくちゃ。

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清彦
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 双葉先輩が俺の髪を褒めてくれた。
 手が掛かって面倒な髪だけど、双葉先輩みたいに綺麗な人に褒められるのはやっぱり嬉しい。

 俺は先輩を飽きさせないよう、話を続けていく。
 髪の話から話題は広がり、気付くと何故かウチで飼っている猫の話になっていた。
 先輩は俺の話に相槌をうち、時々笑顔を見せてくれる。いやもう、これだけで満足だわ。

「清彦くん、ネコ見てみたいなぁ」
「ええ、ウチの猫なんかでよかったら是非」
「そう、楽しみね」

 猫を餌に先輩を家に呼べそうだ。
 部屋の掃除しないとな…。

「そういえば清彦くんって可愛い顔してるね」

 可愛い顔…?
 それは俺じゃなくて俊明の事じゃ…俊明って誰だ?まあいいや。
 可愛いなんて言われることあったっけ?
 えーと…今朝も母さんに言われたし、亜樹が挨拶代わりに言ってきたし、クラスの女子からも毎日そう言われてるな。
 …なんかおかしい気もするけど…何がおかしいんだろう?

「ぇっと…」

 何かを言おうとしたが声が出なかった。
 うう、人と話をしようとするといつもこうだよ。
 なんで俺はこんなに話をするのが苦手なんだろう…。

 でも双葉先輩は話しやすいなぁ。
 猫の話も出来たし。

「可愛いって言われるの嫌?」
「…嫌じゃ…ないです」
「じゃ、もっと言ってあげる。清彦くんは顔も声も可愛いね♪」

 双葉先輩が可愛いって言ってくれた…嬉しいな。

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双葉
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 それにしてもあのフィギュアは凄いね。
 さっきまで雄弁に喋ってた男の子が、内気な女顔の男の子になっちゃった。
 変わったのは髪形と顔だけなのに、性格や声まで変わるとは。
 多分、そういう容姿で育った場合の性格に変わるんだろうね。
 すみれで試した時も、金髪縦ロールにしただけで高飛車なお嬢様になってた。
 亜樹ちゃんも、顔を変えただけで今の性格に近づいてたし。
 私も試しに何かされたみたいだけど、覚えてないからどうでもいいや。
 一体どういう原理なんだろうね。不思議だ。

 考えてもしょうがない。どうせわからないし。
 そんなことより、次はどこが変わるのかな?

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若葉
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 さて次はどこにしようか。
 髪の毛を背中に入れるという性質上、胴体部分の交換ができない。
 でも、他のパーツをつけることにより、胴体部分もそれに反映される。服は変わらないが、便利なものだ。
 ここは一気に…いや、それは面白くないな。
 そうだ、腕にしよう。

 腕は細いほうがいいかな。
 できれば弓に使う筋肉を発達させておきたいところだけど…これは練習で養ったほうがいいね。改造が難しいし。第一、フェアじゃない。
 こんな手段で部員集めようとしているのがフェアなのか?と思ったけど気にしないことにする。
 よし、これでどうかな。

 あ、いいこと思いついた。
 やっていいかどうか双葉にメールで聞いてみよう。

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双葉
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 あらあら、すっかり大人しくなっちゃって…可愛い♪
 でも、体型は男のままなのよねぇ…。
 この顔でがっしりしてるのは似合わない。性格もおとなしくなっちゃってるのに。

 と考えていたら、清彦くんの腕が、少しずつ袖の中に隠れていく。
 それと同時に、肩幅も狭まっていき、胴の長さも変化する。
 なるほど、今度は腕か。

 今の清彦くんの姿を改めてみてみる。
 顔は内気そうな女の子。
 全体的に線が細いという雰囲気で、男子の制服を着ている。
 下半身のサイズは合っているが、上半身はだぶだぶ。
 バランスが悪い。でもなんか倒錯的で、いい。
 身体の不安定さに影響されてか、やや怯えた表情を浮かべている。内面も不安定になっているのだろう。

 そんな清彦くんの様子を見ていると若葉先輩からメールが来た。
 …何かあったのかな?
 ええと…ふむふむ…おお、これは面白そうだ。
 私は是非やってくれ、という内容のメールを返信した。

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若葉
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 双葉の許可も貰ったことだし、さっさと脚を変えてしまおう。
 脚は細くて綺麗なものがいいよね。スカート穿くんだし、偉かろうと偉くなかろうと、飾りだとは言わさないよ。
 …よし、交換終了。
 これで清彦は、『大きめの制服を着た、どう見ても女の子にしか見えない男の子』になったわけだ。

 ところでこのフィギュア、結構適当なところがある。
 例えば、顔を変えただけで性格が変わってしまう。現実には、大人しそうな顔の子がみんなおとなしいわけではあるまい。
 身体を変えても現在着ている服が変わることはないが、タンスの中は変わる。
 着ている服が変化しないのは、服のパーツが存在するからだと思う。タンスの方は『元からそうだった』ことになるからだろう。
 おそらく今の状態の清彦に女子の制服のパーツを付けたら、女装癖がつくだけだろう。もう既になっているかもしれないが。
 でもそれじゃあ面白くない。

 というわけで、今から『裏技』を使う。
 まずは紙を用意。
 その紙に、『自分の事を男の子だと思っている女の子』と書く。
 あ、ついでに『女の子みたいな容姿を馬鹿にされるのは嫌』と『でも女の子でありたいと思っている』とも書いておこう。
 これでOK。あとはこれを最初のように背中に入れるだけ。
 ついでに身体のほうは完全に女の子にしておこう。胸は小さめで、下は…薄いほうがいいね。
 あとは双葉次第。あたしはここで様子を見ましょう。

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若葉
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 また清彦くんの姿に変化が現れた。
 ズボンの裾が地面へと近づいていき、靴が裾に埋もれていく。
 違和感があった腰も、身体に合った細さへと変化する。
 そして胸も少し膨らんできていた。そんなに大きくはないけれど、そこがまたいい。

 目の前にいるのは、どう見ても男子の制服を着た女の子だ。
 …可愛い。
 さっきの若葉先輩のメールによれば、清彦くんはまだ自分を男の子だと思っているらしい。
 でもこんな可愛いのにそれは勿体ないよね?
 ここは、女の子だって教えてあげないと。身体にね。

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清彦
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 さっきからなんだか違和感を感じるんだけど、その原因が分からない。
 それにしても双葉さんは綺麗だよね。
 はぁ…ボクも双葉さんみたいになりたいな。…でも…ボクは男の子だしなぁ。

「それにしても清彦くんは可愛いわね。女の子みたい」
「…ボクは男の子です」

 …でもそのせいでよくからかわれるんだよね。嫌だなぁ。
 いっそ、ホントに女の子だったらいいのに。

「へえ。でもほんとに男の子なの?」
「…そうです」

 ふうん、といいながら双葉先輩がボクの後ろに回りこんで…

「じゃあこの胸はなんなんだろうね?」

 胸を鷲づかみにした。男の子なのに、女の子みたいに膨れてる胸を。


「ひゃぁん!」

 思わず変な声が出る。
 駄目!胸は弱いの!な、何でボクの胸はこんなに敏感なんだよ!

「うわぁ、柔らかい胸…まるで女の子のおっぱいみたいね」
「…さ、さわらないで…ぁあん!」
「ほら、こんなに敏感な胸を持ってる男の子なんていないわよぅ」
「そ、そうかもしれないけど、ボクは、ボクはぁ!」
「う〜ん、服の上からだと面白くないなぁ………えい♪」
「ぅひゃぁ!」

 双葉先輩は素早い動きでシャツのボタンを一つ外し、そこからボクの胸を直に揉みだした。
 先輩の細くて綺麗な指が動くたび、ボクの胸の形を変えていき、そこから未知の快楽が発生する。
 な、なんだろうこれ…気持ちいい…のかな…?
 で、でもボク男の子なのに…胸で感じるなんて…。

「うん、やっぱり直に触るのはいいねぇ…乳首立ってきたよぉ♪」
「ぅみゃぅ!」
「揉み心地といい、反応といい、どう考えても女の子よ?」
「そ、そんな…ああん!」
「でもこれだけじゃあまだわからないわよねぇ?ちょっと胸にだけ脂肪が集まりやすい体質の、肌が敏感な男の子かもしれないし」

 …そんな体質嫌です、先輩。

「やっぱり、男と女の違いといったらこれよねぇ♪」

 先輩の手が股間へと伸びてくる。

「せ、先輩そこは駄目!駄目です!」
「何が駄目なのかなぁ?私にはわからないや」

 必死に抵抗するが先輩の力には敵わず、ベルトを緩められ、パンツの中へと手が侵略してきた。
 先輩の手がボクの股間に触れる。そこにあるのは…

「おちんちんはないなぁ。隠してるのかなぁ?」
「い、いやぁー!!」
「どこにもないよ?ほら、どこが男の子なの?あなたはどうみても女の子じゃない」

 自分の中で、何か大切なものを奪われたような気がした。
 でも、それがなんなのか、ボクにはもうわからない。
 いつの間にか、涙がこぼれていた。

「ぅぅ…」
「泣かないの。可愛い顔が台無しよ?」
「だって、だって…」
「ほら、大丈夫。女の子のキミ、可愛いんだから、自信持ちなさい」

 そう言って、双葉先輩はボクを優しく抱き締めた。
 双葉先輩の大きな胸が顔に当たる。ドキッとした。
 柔らかくて、あったかくて、いい匂いがして、気持ちいい…。
 どうせ女の子だったら、双葉先輩みたいな素敵な女性だったらよかったのに…。

「落ち着いた?」
「…はい」

 あまり先輩を困らせるわけにもいかない。
 頑張って笑顔を作る。ぎこちない笑顔になったと思うんだけど、双葉先輩は微笑み返してくれた。

「うん、泣き顔より笑顔の方が可愛いいよ♪」
「…可愛い、ですか」
「嫌?私は可愛いキミ、好きだけどな」
「…え?」

 驚いて顔をあげた瞬間、双葉先輩の唇がボクの唇を塞いでいた。
 突然の事に何がなんだかわからなくなった。
 パニック状態のボクをよそに、先輩の舌がボクの口の中に捻じ込まれ、そのままボクの舌に絡み付けられる。

「んむ…ん…ぬむ…ぬちゃ…ん…」
「む…ん…ぅ…んにゅ…んぁむ…」

 先輩の舌がボクの舌を蹂躙するたび、淫靡な音が部屋に充満する。
 …気持ちいい。
 抱き締めてくれている腕が、触れ合う胸が、艶かしく動く舌が気持ちいい。
 なにか大切なことを忘れたような気がしていたけど、もうどうでもいい…。
 こうやって、先輩を感じられれば…それでいいや。

 しばらくして、先輩の口が離れていった。
 もうちょっとキスしてたかったな…。
 そんな風に考えながら先輩の唇を名残惜しそうに眺めていると、先輩の手がボクに伸びてきた。
 そして先輩の手がボクの制服をゆっくりと脱がしていく。
 身体のサイズにあっていない学生服、ワイシャツ、パンツ…。
 ボクは何故、こんなものを着ていたのだろうか。ボクは、本当は女の子だったのに。

 ボクの服を全て脱がした後、先輩も制服を脱ぎ始めた。
 紺のブレザーが、赤いリボンが、白いブラウスが、チェック柄のスカートが、一枚一枚床へと落ちてゆく。
 先輩は下着だけを身につけただけの格好でボクを見つめていた。
 薄い緑色のブラに包まれた豊かな乳房、そのブラと揃いのショーツの下の茂み、そして細くくびれた腰。
 なんて素敵なんだろう。
 ボクも、先輩のようなスタイルだったらよかったのに。
 やがて、先輩はその下着も脱ぎ捨て、産まれたままの姿になった。

「ねえ…いいよね?」

 艶っぽい声で先輩が聞いてくる。
 いいって、何が?もちろん、決まっている。

「答えは聞かないわよ…その顔を見ればわかるもの」

 そう言って、先輩は再びボクにキスをした。

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若葉
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 男装した女の子が、綺麗な女の子に襲われる図というのはいいねぇ。
 こんな場面を見られるなんて、役得役得♪

 え?隣の部屋にいるのにどうやって見てるのかって?
 そりゃあ壁に覗き穴があるからよ。
 こんなこともあろうかと、女子剣道部の部長(レズ)と共同で密かに用意ておいたのよねぇ。
 …使えないけどね。剣道部でも弓道部でも、着替えの時間は同じだし。
 見ようとしても、大体他の子達も一緒にいるからね、お互いに。

 それはさておき、後で清彦に新しい名前と制服、そして弓胴着をあげよう。
 喜んでくれるといいな。

 必要な部員はあと一人。次は誰を女の子にしちゃおうかな?

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紀代
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 弓道部に入って一週間がたった。それは同時に、女の子だと『気付いて』一週間たったということでもある。

 …なんでボクは、今まで自分が女の子だって気付かなかったんだろう。
 もっと早く気付いていれば苦労しなかったのに…。
 でも今更そんなことを考えてもしょうがない。大切なのはこれからどのように生きるのか。
 そんなこと決まっている。一生懸命生きるだけ。女の子としてね。

「紀代、最近元気だね」
「そう?」
「男子のカッコしてたときより活き活きしてるよ」
「そういう亜樹も、最近女の子らしくなってきたよね」
「そうかな?自分じゃよくわからないや」
「だって、前は自分でお弁当作ったりなんてしなかったじゃない」
「ああ、そうだったわね」
「なんで突然料理始めたの?」
「…すみれ先輩が『料理の得意な子っていいよね〜。わたしも誰かにお弁当作ってもらいたいなぁ』っていうから…練習代わりに」
「亜樹は本当にすみれ先輩が好きなんだね」
「…そういう紀代はどうなのよ。双葉先輩とはどうなの?」
「…秘密」

 こんな会話をしながら、ボク達の日常は過ぎていく。
 何かが決定的に狂っているような気がしたけど、その原因がワカラナイ。
 でもいいや、幸せだもの。

「ああ、そういや今日は部活休みだっけ」
「うん、先輩達が用事があるからって」
「じゃあ、帰りにどっか寄ってく?」
「そうだね。ちょうど下着とか買いたかったし」

 ボク、まだ女物揃ってないんだよね…。可愛い下着とかないかなー。

※本来ならここで『女の子としての買い物を体験する元男』を必要以上に長く書くところですが、本人たちが既に女の子気分なので省略されました。

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双葉
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 清彦くんを紀代ちゃんに『変えて』から一週間。
 紀代ちゃんも弓道部に入ってくれたので、今年の新入部員が2名になった。
 だけど、まだ足りない。あと一人入ってくれないと、3年が引退した直後に廃部だ。
 所属人数が5名を切ったら廃部…うちの学校の部活のシステムは、なにか根本的な問題がある気がする。どうでもいいけどね。

「で、私たちはなんでここにいるんです?」

 保健室のベッドの上で、若葉先輩に尋ねる。

「もうすぐ最後の部員候補くんが来るからだよ」
「…なんでここなんです?」
「ちょっと問題のある子でね、ここじゃないと多分来てくれない。ね、陽子ちゃん?」
「そうね。若葉と違って繊細だからね、彼は」

 若葉先輩の隣に腰掛けてながら、養護教諭の陽子さんが言った。
 どういう経緯かは知らないけど、この人も今回の部員勧誘に一枚かんでいるらしい。

「ところで、どんな子なんです?」
「大人しくて気の優しい、どこにでもいるような子よ」

 すみれの質問に陽子さんはそう答えた。
 …そんな子のどこに問題が?

「あ、そろそろ来るわね。3人とも、気付かれないように気をつけなさいよ」

 そう言ってベッドをカーテンで隠しながら、陽子さんは机に向かった。
 さて、どうなることやら…。

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武彦
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 学校が嫌いだ。いじめられるから。
 進学すれば大丈夫だと思っていたが…この学校でもいじめは続いている。
 殴られ、蹴られ、罵られ、盗られ、貶され、傷つけられ…そんな毎日だ。
 親は仕事が忙しいからと相手にしてくれない。その癖、学校を休めば怒る。
 いじめられていると言っても、「気のせいじゃないの?」と信じてもくれない。
 先生たちに相談しても無駄。相手にしてくれない。
 たまに真剣に相手してくれる人もいたけど、それが原因でいじめが悪化したこともあった。
 逃げたくても逃げ場はない。いっそ死んでしまいたい…。

 そう考えていた時、陽子先生が呼び出してきた。僕がいじめを受けていることを知って、話を聞きにきたらしい。
 どうせ何も変わらない、そう思って僕は先生を無視した。
 殴られた。グーで。

「…いいから話しなさい。いい?こっちは話してくださいって頼んでるわけじゃない。命令してるの」

 理不尽だと思った。
 …まあいいや。どうせ何も変わらないなら、この人に話をしても大して変わらない。
 変わらないんだ、何も…。

「…で、それでいいの?」
「は?」
「そんな生活でいいの?いじめられ続けて、それで自殺しておしまい。そんな人生でいいの?変わろうとは思わないの?」

 いいわけがない。
 でもなにができる?
 僕じゃどうせやつらにゃ敵わない。力も弱いし、気も弱い。
 なにより、僕は一人だ。勝てるわけがない。
 そう言い返したらもう一回殴られた。グーで。

「いいか?もし君がいじめられて自殺でもされた日にゃ、私の目覚めが悪いんだよ」
「自分の都合かよ!」
「当たり前でしょう?私は聖人君子じゃないんだ、自分の都合だけで動いて何が悪い」
「それでも教員かアンタは!嘘でもいいから僕の事を思って言っているんだとか言えよ!」
「嫌よ。言ったって信じないでしょう?無駄じゃない。無駄なことはしたくないの」
「…じゃあなにか!僕を殴ったことは無駄じゃないのか!?」
「論点がずれてる。殴った殴らないは関係ない。私は、君に、変わりたいか変わりたくないかを聞いてるんだ」
「変わりたいよ!でも変われな…」
「はい、それ以上言ったらもう一回殴るよ〜」
「………」
「変わりたい、確かに聞いたわ」

 陽子先生は僕を真っ直ぐ見つめてくる。
 その目は鋭く、視線だけで人を殺せそうな気がした。
 …目をそらすことも出来ない。

「じゃあ、変えてあげる」

 そう言って、陽子先生は僕の髪の毛を一本抜き、ベッドの方へと向かった。

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若葉
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 陽子ちゃんから髪の毛を受け取る。
 …しっかし、今時二度も生徒を殴る教員ってのも珍しい。今度から体罰養護と呼ぼう。

「…で、先輩どうしましょうか」

 双葉が聞いてくる。

「そうだね…いじめられていなければいいんだよね」

 じゃあ単純に考えて、強くなればいいよね。細かいことは陽子ちゃんが何とかしてくれるだろうし。
 強く…強い女の子…強気…噂に聞くつんでれ?いや、これは違うな、うん。つんでれとかよくわからないし。
 う〜ん…。

「いっそ、一昔前のスケバン風に…」
「却下」

 そんな部員いらんわ。出席率低そうだし。
 さて、どうしようか…。
 あ、そうだ。こうしよう。
 あたしは金髪ショートヘアの髪の毛パーツを取り出して、人形の髪の毛と交換した。

 カーテン越しに変化を確認する。
 髪の毛が少しだけ伸び、色も徐々に金色になる。

「ああ、やっぱり気付かないんですね」
「今回『は』それじゃあ困るんだけどね」
「え?どういうことです?」

 すみれの質問には答えず、次のパーツを選ぶ。
 強気な子にするなら、やはりこのパーツしかあるまい。綺麗な金髪なのに短いのも味気ないし。
 ちょっと調整が大変だけど…よし、取り付け成功。
 ついでにこのパーツもつけちゃおう。

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武彦
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 陽子先生はただ微笑みながらこちらを見ているだけ。一体何をするというのだろうか。
 そんなことを考えていたら、頭が急にむずむずしだした。それと同時に、髪が耳にかかる感触。
 とりあえず髪の毛に触れてみる。
 よくわからない…けど、僕の髪の毛はこんな長さだっけ?それに…色も違うような…あれ?
 でも元からこうだった気もする…。
 そう考えている僕の目の前で、髪の毛が少しずつ伸び始めた。

「ええ!?」
「ほう、綺麗な色になったねぇ」

 陽子先生が可笑しそうに言うが、僕はそれどころではない。
 髪は腰の辺りまで届く長さで伸び、そこで止まった。
 さらに頭の横の方で髪が縛られるような感触がした。
 髪を縛る「なにか」に触れる。これは…布?

「おや、海老の味がしそうな髪形になったねぇ」
「い、一体どうなっているんですか!」
「いやいや赤いリボンがよく似合うよ」

 リボン!? 何で僕がリボンなんて…あれ?
 でも朝自分で縛ったような記憶が…。
 おかしい。記憶と現実に大きな食い違いがある。
 本当にどうなっているんだ!?

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若葉
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「…若葉先輩、彼気付いてません?」
「変化していることには気付いていると思うよ?」
「なんでです?今までこんなことなかったのに…」
「そういう趣向もアリってこと。まあ記憶も変わるのは同じだから、混乱していると思うけどね」

 そう、彼には『自分が変わったこと』を自覚してもらわなくてはならない。
 いじめられていたという記憶を消すのは簡単だ。
 でもそれじゃあ、いじめていた人間は何一つ変わらない。
 彼自身の手で、いじめの問題は解決しなくちゃいけないのだ。
 (教師が関わってくるといじめる生徒側の親がうるさいから、という陽子先生からの要望だ)
 それに、この方が面白いじゃない。

「次はどこを変えようか?」
「やっぱり顔じゃないですか?女の命だし」
「双葉ちゃん、甘い。ここはあえて服からでしょう!」
「…女装は好みじゃないなぁ」

 好みじゃないが、考慮の価値はあるかな。
 違和感を感じつつも、女装するのが当たり前のような『錯覚』をしている少年…。
 アリだね。顔にもよるけど、彼なら十分いける。
 よし、決定。
 ただ、男子の体型で女子の制服を着るのはあたしとしては許せない。
 ここで体格まで変えちゃうか。

 彼の様子を伺う。
 椅子に腰掛けた彼の身体が、みるみる縮んでいき、全体のパーツもググッと細くなる。
 学生服が少しずつ変化していく。
 ズボンは裾が一つに繋がり、短くなっていく。上着はブレザーに、シャツはブラウスに。
 あっというまに女子の制服を着た、金髪ツインテールの『男の子』があたし達の前に現れる。

「体全部を一気に変えると昔見た映画みたいで面白いね。タイトル忘れたけど」
「あ、わたし知ってます。『ジキル博士はミスハイド』でしたっけ?」
「ああ、それだ」
「…私、それ知りません」
「レンタルビデオのホラーコーナー辺り見てみるとあるかもね」

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武彦
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 陽子先生はただ微笑みながらこちらを見ているだけ。それなのに、何かがおかしい。
 また違和感を感じた。身体中がくすぐったい。
 視界が低くなった気がする。
 腕が細くなったような気がする。
 腰が細くなったような気がする。
 お尻が柔らかくなった気がする。
 でも、前からそうだったような気もする。

「さて、君は男の子だよね」
「見ればわかるでしょう?」
「いや、見てわからないから聞いてるんだよね。女子の制服似合うよね、君」
「…うわ、何これ!?」

 いつの間にか、僕は女子の制服を着ていた。
 短いスカート、青いブレザー、紺のソックス…どれも今まで着たことのないもの…。

「な、なんで僕こんな格好…あれ?僕が女子の制服着てるの…おかしいのかな?」
「さあどうでしょう?」

 女子の制服…毎朝これ着てなかったっけ?
 下着だって、黒の大人っぽいショーツと、それにあわせたブラを選んだ気が…。
 あれ?なんで男なのにブラなんて…。
 何かがおかしいことはわかっているのに、何がおかしいのかが理解できない。
 どうなっちゃうんだろう、僕…。

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若葉
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「さて、次はいよいよ女の子にしちゃうわけですが…ここで一つ問題があります」
「問題?」
「なんです、それ?」
「胸の大きさ」

 会話が止まる。
 これはかなり重要な問題だ。
 他の2人は、双葉とすみれの趣味に合わせたサイズになっている。
 紀代は普通、亜樹は控えめくらい。
 となると、バランスをとって巨乳にしちゃうという選択もあるわけだ。

「あたしとしては巨乳がいい。『彼女』が自分に自身を持てそうだし、何より揉んだら気持ちよさそうじゃん」
「わたしは小さい方がいい。だって、元男の子に胸のサイズで負けるなんて…」
「私と同じくらいでいいんじゃないかなぁ」

 ちなみに双葉はちょっと大きめ。悔しい。
 それにしても、見事に別れたものだ。

「じゃあ、じゃんけんで決めよう」
「そうですね」
「誰が勝っても恨みっこなしだからね」

「「「じゃんけん、ほい」」」

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武彦
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 陽子先生がこちらに近寄り、僕の股間に手を伸ばした。
 この異常な状態に、僕の分身は硬くなっていた。

「あらあら、おちんちんがこんなに立派。変態さんねぇ」
「さ、触らないで下さい!」
「最後に一回くらいだしといた方がいいと思うんだけどねぇ…」

 そう言いながら手を引っ込められる陽子先生。…ちょっともったいないことしたかな。
 でも、最後ってどういうことだろう?

「ねえねえ、自分の胸を見てごらん」
「え?」

 自分の胸を見たって面白くない。どうせ見るなら陽子先生の胸の方がいい。
 …と思ったけど、見ないと殴られそうだから素直に従う。
 女子の制服に包まれた、まっ平らで、面白みのない男の胸。

「ほら、始まるわよ」
「え?…あっ!」

 胸に違和感を感じるとともに、制服の胸元が盛り上がってくる。
 まるで風船が膨らむかのように、少しずつ、確実に。

「な、なにこれ!?」
「ん、この速度だと…大きくなるかな?」

 変化は止まらない。
 胸の膨らみはどんどんどんどん大きくなる。
 そのたびに乳首がこすれ、道の快楽を生み出す。
 胸全体が、さっきまで何の意味もなかったブラに包まれていく気がした。

 なんだか、気持ちいい。

「せ、せんせぇ…ど、どうなって…?」
「君はね、生まれ変わるの」
「ぅまれ…かわる…?」
「そう、今までの自分から、新しい自分に。男の子から、女の子に」
「そ、そんな…」
「そんなに悪いことじゃないわよ。ほら、気持ちいいでしょう?」

 そう言って陽子先生は僕の股間に手を伸ばす。
 いつの間にか男の部分は消失し、そこには薄い茂みに隠された溝があるだけ。
 その溝をなぞるように、陽子先生の細い指が艶かしく動いた。
 それと同時にやってくる、快楽の波。

「ぁあん!」
「…変わった直後って、敏感なのよねぇ」
「な、なんですか…いまのは…?」
「気持ちいいでしょう?」
「よくわからないけど…多分…」
「もっと、気持ちよくなりたい?」
「え…?」
「女の子としての自分を受け入れるなら、気持ちよくしてあげるわよ」

 気持ちよくなれるの?
 そんなことで男としての自分を捨てるなんて…。

 でも、男のままでいたって、どうせいじめられるだけ…。
 だったら、女の子になって、陽子先生に気持ちよくしてもらったほうがいい。

「…きもちよく、してください」
「よく言えました。じゃあみんな、始めるわよ」

 陽子先生がそういった直後、カーテンの閉まったベッドから女の人が3人やってきた。

「みんなで、気持ちよくなりましょう」

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武美
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 いつものように教室へと向かう。
 教室に入り、仲の良い友人たちへ挨拶をし、授業が始まるまでお喋り。
 いつもと同じはずなのに、いつもと違う感じがする。
 何かが変わったんだと思う。何が変わったのかは、私にはわからないんだけど。

 ふと男子たちが集まっている辺りを見る。
 聞こえてくるのは卑猥な単語や日常の不満ばかり。
 何しに学校へ来てるんだか。

 ああ、男じゃなくて良かった。
 何故かそう思った。そんな事どうでもいいんだけどね。

 友人たちとの会話に戻る。
 どうやら、近くに新しい小物屋さんが出来たらしい。
 今度、みんなで行ってみようという話になった。
 うん、楽しみね。
 でも、弓道部のみんなとも行きたいなぁ…。

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双葉
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 こうして、無事に部員を確保した弓道部は、廃部の危機を免れた。
 新しい娘たちは、みんな真面目に部活に取り組んでくれている。
 これなら、大会でもいい成績を残せるだろうね。
 ただ…。

「双葉せんぱぁい…もっとぉ…」
「もう、紀代ちゃんは甘えん坊なんだから…」
「だってぇ…」
「はいはい、明日は休みだし、とことん付き合ってあげるからね」

 紀代ちゃん、毎週うちに止まりに来るのはいかがなものだろうか?
 武美ちゃんも、たまに私達に混ざりに来るし…。
 そういえばすみれも毎晩のように亜樹ちゃんの相手をしているらしい。
 大会まで私達の体力がもつのかが心配だ…。

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若葉
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「いやぁ、陽子ちゃんありがとね!」
「いやいや、こっちも楽しませてもらったよ」
「双葉もすみれも楽しんでるみたいだし、よかったよかった」
「…ところでさ、あのフィギュア、もっと使ってみない?」
「…先生、おぬしもワルよのぅ」
「ふふふふふふ…」
「ふふふふふふ…」








まあ、内容はいつも通り。
ピンキーの改造を見て思いついたと思います。
後年、figmaを改造してキョン子を作ったのはこの作品とは関係ありません。当たり前だ。


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